ボリビア最高峰の、サハマ(6,542m)に登って来ました!
先日のワイナポトシ(6,088m)下山中に見えたイリマニ山(6,438m)とサハマ山のことを、ガイドのテオに「お前なら登れる!」と教えてもらい、当時は全くその気がなかったものの、下山したら登る気になってしまった。
というのも、思った以上にワイナポトシ登頂が簡単に出来て(天候・ガイドに恵まれたのも大きい)、手応えがあまりなかったので、自分の限界に挑戦したいと思った。
サハマなんて難しいだろうから、イリマニにしようと思ってダメ元でツアー会社を回ったんだけど(シーズンは一応先月までだったので)、イリマニどころかサハマのツアーもやっている所が結構あった。
通常、イリマニとサハマに関しては2人以上からのツアー催行になり、ソロの場合はエクストラ料金が発生してかなり高くつく。
最初に言ったオフィスは「来週ならサハマに行く人がいるから、それに参加したらグループ料金になる」と言われたけど、それでもBs.5,500 ($800)だった。
事前に調べた内容ではイリマニで$500程度なはずなので、思ったより高くて躊躇。
でも3件目に言ったILLIMANI TOUR (?)(トレッキングツアー会社が集中している通りの、坂の上の方にある)というところが、プロモーションで特別にプライベートツアーをグループ料金にしてくれるとのこと!
料金も最初に行ったツアー会社の半分(サハマ・イリマニ共にBs.2600=¥40,000)。
アフリカ最高峰のキリマンジャロが、6,000mないのに最低10万はかかることを考えると、ボリビアの登山は破格すぎる。
しかも!
イリマニとサハマで悩んでいたら、サハマもイリマニと同料金で催行してくれると!!!
でもサハマとイリマニの難易度の差等、全く調べていなかったので、とりあえずホテルに戻ってトレイル情報を検索した。
画像検索する限り、独立峰のサハマに比べてイリマニ山からの景色の方が、稜線の景色が綺麗そうだったんだけど、なんとサハマは麓の村に世界一高いところにある(?)天然露天風呂があるとのこと!!!!
ボリビア最高峰に登ってかつ、登山後の露天風呂なんて、日本人なら迷ってらんないよね!w
ということで、サハマに決定したのでした(単純)。
でもオフィスに戻ってオーナーと相談した結果、確実に登る為にも4日間のツアーを5日間に変更してもらった(麓のホテルにもう1泊)。
4〜5日とはいっても、ラパス〜サハマ間の移動は半日かかるので、登山自体は2泊3日でワイナポトシ・イリマニと一緒。
…結果的に、誰もやらないであろう1泊2日の強行プランにしたんだけど…w(後述)
***
前日にレンタルギアのチェックをして、当日は9:00にオフィス集合。
ガイド(アルフレッド)&ポーター(ビルメル)と落ち合います。
ポーターと聞くと、自分の荷物も持ってくれるのかと思ったけど、サハマはRefugeo(ハット)がないので、BC&HCともにテント泊。
食料も全部持っていかないといけないので、衣類はほぼ自分で持たないといけない。
登りのみ、ブーツやアイゼンなど、レンタルギアの一部は持ってくれるのだけれど、下りも頼む場合は追加料金が発生する。
テン泊が基本の山に関しては常識なんだけれど、オフィスのオーナーに「荷物って、バックパックも持ってくれるの?」って何度も聞いたら「うん」と言われたので、ワイナポトシよりも荷物の重さをそこまで気にせずにパッキングしてしまったから失敗。
別に不要なものはほぼ持って来なかったけど、それでも重い。
急勾配のサハマ登山には辛い。
今回は、料金を安くするためプライベートカーではなく、公共交通機関を使って移動。
まずタクシーで空港前のバスターミナルまで行き、そこからパタカマヤ(Patacamaya)行きの乗り合いタクシー、そこからサハマ行きのシャトルに乗り換えました。
道中、パンパや岩山に囲まれた、まっすぐに伸びる道を走って行くから、ロードトリップみたいだった。
サハマが近づくに連れ「ああ、本当にあれに登るのか〜」と、実感がわかない。
パタカマヤで昼食をとり、国立公園入り口で入場料Bs.100(¥1,500)を支払い、午後3時半頃にサハマ村に到着。
4日間ツアーの場合、村に着いた足でベースキャンプ(村から3時間ほど)まで行くのだけれど、この日はこのままホテルでゆっくりします。
村はとても小さいのだけれど、今日泊まるホテルは新しいらしく、伝統的な造りの建物の中にシャワー付きのシングルルームがありました。
色んな人のブログで「ボリビアのガイドは兎に角ホテルに泊まりたがる。BC泊の予定がホテル泊にされたりして、その分料金が発生したりする」と書いてあったけど、本当にそれ。
まぁツアー料金安いし、サハマなんて登るんだから、たまの贅沢ぐらいはいいよね。
時間があったので、村を散策。
天気が良く、周囲の山々と草原が綺麗に映えてました。
リャマも普通に歩いてる。
素敵な古い教会があったり。
建築が全体的に可愛らしい。
すぐ近くに川があったので降りてみると、日に染まった草原がずっと広がっていて綺麗だった。
温泉近いから川もちょっと暖かいのかと思ったけど、普通に冷たかったw
夜、夕ご飯の時間になり部屋を出ると、わずかな光に照らされた雪がサハマを輝かせていました。
明日もいい天気であってくれー!
そして夕飯時。
「オーナーに露天風呂行けるって言われたんだけど、何日目なら行ける?」とガイドに聞いたら、「村から7km先にあるから、最終日は難しい。明日も朝9時には出るし…。」と、これはまさかの行けないパターンか…?😭
するとガイドが「もし登山の行程を1日短くしたら行ける。明日ベースキャンプに泊まらず、一気にハイキャンプまで登る。2日目に登頂して、そのまま降りてきたら、翌日丸一日空くから温泉に行けるよ」との案が。
サハマ村は海抜4,250mほど。
そしてハイキャンプは約5,700m。
つまり1日で1,500m一気に登り(酸素の量を考えると結構きつい)、登った日の深夜0:00にそのまま山頂アタックし、その日のうちに村まで降りてくることになる(最終日はほぼ丸一日動きっぱなし)。
かなりキツそうだけど、温泉への愛が強すぎて「それで行こう!」とOKした。
本当は「明日、もし具合が悪くなったりしたら、温泉は諦めてBCに泊まろう?」とガイドに聞いていたのに、今回のガイド(アルフレッド)は外れで、融通が聞かない。
ハイキャンプまで一気に行くか、行かないか。
それだけ。当日変更不可。
とりあえずさっさと寝て、明日に備えた。ドキドキ。
一気にハイキャンプに行く為、通常よりも早めの8:00スタート。
タクシーでトレイルヘッドまで。
サハマに向かってひたすら進む。
ガイドもポーターも、何が一番嫌だったかって、ガイドのくせにこっちのペースとか全く気にせずにスタスタ登っていくこと。
ガイドに置いていかれるのは初めて。
前回のガイドのテオみたいに、全くこっちの調子とか気にしてくれない。
でも重いバックパックを背負っての登山はきつい。
早く歩こうとすると息が切れる。
わたしが彼らに比べて遅いのは当たり前だし、そこをケアするのがガイドの仕事でしょう。
アルフレッドはこの道14年って言ってたから割とベテランの方だと思っていたのに、登山技術が高いだけで、ゲストのケアはほぼなし。
わたしは登山ガイドとのコミュニケーションが一番大切だと思って一生懸命話したけど、結構寡黙で全く距離感が縮まる感じがなかった。
そして置いていかれるだけでなく、休憩もほぼなし。
自分が休憩必要な時だけで、あとはどんなにわたしがしんどそうにしていてもお構いなし。
体力だけでなく、精神的にも辛かった。
そのくせアタックの前日には「登山はコミュニケーションが大切だ。明日アタックの時、休憩が欲しかったらちゃんと言ってね」とか言ってきて「はい?」って思った。笑
テオが良かったな〜。
3時間ほど登ったら、お昼休憩。
ベースキャンプから1時間ほど登ったところ。
チキンと、美味しくないショートパスタ(ワイナポトシもこればっかりで辛かった)だった。
真夏はハイキャンプも雪はないんだけど、もうシーズンが終わり雪が降りてきていたので、ベースキャンプとハイキャンプの間ぐらいから雪道スタート。
結構急だけど、アイゼンは付けずにピッケルのスピッツェ(肢の下)で体を支えながら登っていく。
滑ることで有名なKEENのトレッキングブーツのわたしはヒヤヒヤだったけど、なんとかなった。
足元のことより、急勾配なのが辛かった。荷物重くて。
多分4時頃?ハイキャンプ到着。
日が沈む前に急いでテントを貼ります。
テントの下にビニール袋敷いただけ。
大丈夫かこれ。笑
しかも!
レンタルしたエアーマットレスがボロボロで、穴が空いていて空気入れてもぺっちゃんこ!!!
普通の銀マットは持っていたんだけど、オフィスで「こっちの方がいいよ!」と交換してもらったのが大失敗。
相当古いのか、そこら中に接着剤か何かで穴を塞いだ跡がありました。
おかげで一睡も出来なかった。
雪の上で寝ているのと一緒。
しかも溶けた雪が沁みてきて、朝にはびちょびちょだったし。
ちゃんと確認すべきだった。。。
日が沈んだら、ささっと夕ご飯を食べて”就寝”。
やっぱり食料調達が難しいサハマでは、夕ご飯はパンとインスタント麺でした。
もっと高いツアーだったらそんなこともないんだろうけど。
リンゴとみかん持ってきてよかった(ワイナポトシでめっちゃ生野菜食べたくなったから)。
***
そして0:00に起床し、0:30にアタック開始。
このアタックが、人生で一番辛いトレッキングになった。
最初からずっと50度前後の登りが続き、合間合間に60度ほどのアイスクライミングの箇所があり、永遠に登りが続く。
途中「あとどのくらいこの傾斜続くの?」ってガイドに聞いたら「最後までこれだよ。ここはサハマだ。何を言ってる」と言われた。
精神的にやられた。もちろん地形図を見た時から「アタックはずっと急勾配だな」と思ってはいたけど。
体力の消耗が激しい。
ワイナポトシでは全く息切れどころか、口呼吸さえもしなかったのに、頻繁にゼーハーゼーハーと息が乱れる。
苦しい。
一番辛かったのが、ガイドが一切休憩を取ろうとしないこと。
わたしの体力に限界が来て、わたしが止まったら仕方なしに止まるだけ。
やっと休憩になって座ろうとしても「危険だし体が冷えるから座るのはだめ」と言われる。
でも、常に急勾配の雪道とアイスクライミングで、わたしの足は限界。
足を休ませないと、頂上なんて行けない。
何度もそうガイドに伝えたのに。
わたしを追い詰めるように、上り坂は永遠に続く。
「あそこがこの傾斜の終わりかな」「あそこが頂上かな」が6時間続く。
急勾配なので、上り坂の終わりに見える場所はただの斜面の一部で、頂上は最後の最後まで見えない。
登っても登っても、進んだ感じがしない。
朝焼けが唯一、頂上が近いことを教えてくれた。
とは言っても、足が完全に死んでいたわたしは、予定よりも30分遅い7:00に登頂した。
朝焼けに真っ赤に染まるパンパと砂漠が美しく、山頂で朝日を見たいと強く思っていたけど、それでも体が言うことを聞かないほど体力は限界だった。
朝焼けに染まる大地と、サハマの影がくっきり見えた。
反対側にある兄弟の山は、ペリナコタ火山(左)とポメラペ火山(右)。
ここも登山が人気の山で、サハマ登山中、終始拝める。
山の向こう側はチリ。
そしてあたりが明るくなりきった頃、山頂に到着。
サハマの山頂は平らなので、着くや否や「もうここでいいよ…」と思ったけど、一応”一番高いところ”まで行かなければならない。
平らな道なのに、足が動かない。
そしてガイドに「おめでとう、山頂だ」と言われた瞬間に、その場にぶっ倒れた。
道中少しも座れなかったので、一刻も早く体を投げ出したかったw
まじでしんどかった。
体力は限界だったけど、早く降りないと雪が溶けて危険&何より寒すぎて(-20度)じっとしていられなかったので、写真撮影タイム。
iPhoneが寒さに弱すぎて、カメラを起動して30秒で死亡。
なのでガイドに撮ってもらった。
彼のSAMSUNGは問題なし。
いい加減ケータイ変えようかな笑
でもこの写真は、GoProの写真。
何故ならこのガイド、「写真送るね」とか言って、結局送ってくれなかったから。
気圧で顔がパンパンなのと、雪面が眩しすぎて全く目が開かない。笑
そして下山。
下山前に体力を使い切ったのは初めてで、ただでさえ下山は大変なのに、急勾配&雪だから足がぶっ壊れた。
登りが辛い分、下りも難易度が高い。
足がもつれて転んだり。
でもガイドは「どうした」と言うだけで、さっさと下山したいからか急いで降りようとする。
ハイキャンプに戻るのにもかなり時間がかかり、着くとポーターのビルメルが待っていた。
体力を使い切り、やっと朝ご飯だと思っていると、「40分休憩をして出発だ。早く村に戻れるぞ」と、ご飯も用意してくれない。
自分たちが普段食事をそれほど取らないのに慣れているからと言って、それを登山客にも強制する。
深夜から動いて山頂アタックをし、これから3〜4時間ほどかけて下山した後で、もうエネルギーなんてどこにも残っていないのに。
特にポーターのビルメルはまだ18歳ほどで、体力があるのでさっさと降りたいらしく、みんなザイルで繋がれているのに二人ともわたしを引っ張る。
危険すぎる。
急な下りなのに。
滑落防止のためのザイルなのに、むしろ危険を冒してる。
雪道が終わると、さらに加速して帰路を急ぎ、わたしを置いていく2人。
ヘトヘトのわたしは、ゆっくり歩くしかない。
でもどんなに離れても、全く待とうとしない2人。
早くホテルに行きたいだけ。
疲れ果てたわたしは、トレイルヘッドまでかなりの時間がかかったのだけれど、なんとトレイルヘッドでガイドたちに再会したら「遅すぎるよ。タクシー呼んでたのにもう行っちゃったよ」と嫌味を言われた。
ガイド曰く、タクシーを呼んでいたのは2時間半前。
わたしが遅すぎたのはわかるけど、あれだけ「もう足が死んでる」と伝え、しかも道中ずっとヘトヘトだったわたしを見ていたのに、タクシーを自分たちのベースに合わせて呼んでいたなんて。
彼らのペースだと、ハイキャンプから2時間でトレイルヘッドまで降りることになる。
体力が余っていたとしても、かなりのスピードなのに。
見ていると彼ら、元から歩くのがめっちゃくちゃ早い。
わたしが疲れていて、普段よりペースが遅かったことよりも、彼らのペースが異常だった。
一般の人が、バックパックを背負っていない状態で、めっちゃ早足で歩くくらいのペース。
あんなの追いつけないよ。
代わりのタクシーが来た時も、ドライバーに「さっき呼んだけど、その子が遅すぎて予定より2時間半も遅れたんだ!はは」と愚痴ってた。
本当に嫌だった。
何はともあれ、無事登頂&下山は出来て良かった。
そこは満足。
帰ったらすぐにビール飲んで洗濯した。
夜は死んだように寝た。あぁ疲れた。
翌日は歩いて天然露天風呂まで。
ずっとリャマの放牧地を歩いて行く。
入場料は、今年になってまた上げたのか、Bs.30になっていた(去年の情報ではBs.20)。
ビールも置いていたので、ガイドとポーターに買ってあげた。
奢ってもらうの当然って感じの態度だったけど。
この日は天気は良かったけど、風が強かった(温泉で熱った体を冷やすには最高)。
同じ宿の宿泊客で、今日ペリナコタに登ってきたフランス人夫婦とガイドは、「山頂は特にものすごい強風で寒く、立っているのもやっとだった」と言っていた。
ちなみにこの翌日には、寒気がきてボリビア全土が冬模様に。
全国の山に雪が降り、日中は半袖でもいいくらいに暑かったラパスは、山と同じ格好で丁度いい程に冷えていた。
それを考えると、強行プランではあったものの、ベストタイミングで降りてきたな。
基本的に晴れ女で、大抵わたしが下山した翌日から天気が荒れる場合が多い。
日本でも、パタゴニアでもそうだった。
翌日はラパスに帰還。
パタカマヤ行きのシャトルは毎朝5:30発の1本のみなので、まだ暗いうちに宿を出る。
この日も朝ご飯・お昼ご飯はなかった。
ガイドもポーターも、早く帰りたいというだけ。
絶対に、この浮いたお金は奴らのポケットに行っているはず。
ラパスに入ると、ラパス名物の「交通整備のシマウマ」がいた。笑
中心街よりも、空港近くの道の方が多いみたい。
平日のラッシュアワーに出現するらしく、市からお金貰ってるらしいけど、公務員とは思えないほどただ踊ってるだけ。効果はあるんだろうか。
オフィスに戻ったら、オーナーに「旅程を変更して、ホテルの宿泊が1泊分増えたから、その分を払って欲しい」と言われた。
でたー。
これに関してはちょっと予期出来ていたので、考えていた通りに反論。
説明がなかったことだけでなく、登山中の危険行為やガイドの責任感のなさなど、強めに意見した。
そう言うとオーナーはびびって「OK…」と諦めてくれた。
クレーマーにはなりたくないけど、こっちの言い分は正しいはずなので言わせて貰った。
他にも、指定したはずのガイドが当日になって手配出来なかったと言われるケースも、ボリビアでは多々あるみたい。
今回みたいに、いくらこっちが仲良くなろうとしても、自分勝手なガイドはいるので。
出来れば他の旅行者や知り合いに聞いてみるのが無難な気がした。
ホテルMiltonに戻り、一泊しようか迷ったけど、そのまま今夜のウユニ行きの夜行バスを手配してもらった。
Omar社のカマで、Bs.170したけど。
ウユニは明後日が新月なので、ちょっとでも早い方がいいかなと。
ちなみにバスはかなり居心地がよかったです◎
シートはゆったりふかふかで、ほぼ180度くらいリクライニング出来る。毛布付き。
ということで、いよいよ2週間以上いたラパスエリアを出て、明日からウユニです!
気持ちを切り替えていくぞーーー!
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