今日はレーからバスで、”花の民”と呼ばれるアーリア人の一派、ブロクパ(Brokpa)が住む、ダー・ハヌー(Dha, Hanu)村を目指します。
彼らはパキスタン側から来た民族で、頭にたくさんの花を飾り付けていることで有名。
年々伝統衣装に身をまとう人は減っているそうで、今では生花ではなく造花や代わりの飾りをつけている人が多いようです。
朝一でバス停に行き、ダーに行きたいとそこに居たおじちゃんに言ったら、優しくバスを教えて貰えました。
後から知ったけど、ダーに行くには2回乗り換えが必要。
ダーよりハヌーの方が若干近いけど、ハヌーに行くにも手前の町Khalatse (Khalsi?) で乗り換えが必要でした。
*日記データが一部消えてしまった関係で、それぞれのバスがいくらかは不明なのですが、レーからハヌーまでの合計運賃はRs.240でした。
レーを出発して30分ほどで、まさかのエンスト。
ラダックでは日常茶飯事なのでもう慣れちゃったけど。
どうにかならないのかなあ。
あまりに直る気配がなかったので、途中でヒッチハイクして先に行ってしまう人もいました。
ただでさえスムーズに行っても到着予定が夕方なのに、これ以上遅れてはまずい…
でも何とかなる事を祈って、気長に30分待ったらようやく直ったみたい。
世界中どこでも、悪路がある場所を走っているバスの運ちゃん達の修理のスキルはすごい。
毎日のように起きるもんね。むしろ直し方わからなかったら仕事やってられないよね。
*
*
分岐点の町でミニバスの出発を待つこと30分、ダー・ハヌー方面に向けて出発。
このバスが超満員で、数時間ずっと立ちっぱなしだった。
しかも民族の爺さんにもろセクハラされたーーー。
いくらラダックでもインドはインドだなと思った。
バスにしばらく揺られていると、途中から民族衣装を来た女性達が…!!!
心の中で
「で、出たーーーー!」
と叫んでしまうくらいドキドキした…😳
長い三つ編みを先っぽで束ね、頭には(おそらく花代わりの)カラフルな髪飾り、トルコ石など天然石を使ったアクセサリーに、服はヤギの毛皮で作ったコート。
そして、アーリア人特有の魔女のような顔をしている。
*
観光業のおかげで、『世界中の民族』に会いに行くことは良くも悪くも簡単になったけど、こうやって100%自然体で会えるのは稀。
グローバリゼーションの影響で、ほとんどの民族が観光客相手に商売をするようになったし。
こんな予期せぬ出会い、なかなか無い。
車内中、彼女たちが纏う山羊革の獣臭さでムンムンだったけど、もう驚きと感動でニヤニヤ。
年々増える観光客のせいで、彼らが写真を嫌っているのを知っていたけど、後ろ姿だけちょっと失礼。。。ごめんなさい。
外国人嫌いかな〜と心配したけど、目があってニコッとしたら、向こうも笑顔で返してくれた。
よかったぁ〜。
ちなみに当時また乗り換えさせられるとは知らず(料金も「ダーまで」と言って払った)、ダーとハヌーの分岐点で降ろされた。
そして「ダー行きの乗り合いトラックがそのうち来るから」といって、そそくさとバスは行ってしまった。
峡谷ということもあって、もう日は隠れ辺りは薄暗くなってくる。
一体何時になったら着けるのか…ただただ不安。
と、待つこと30分くらいでトラック到着。
一緒に待ってたおっちゃん達と、ドナドナ式で出発。
しっかし景色が良くて風が気持ちよかった。
ちなみに、このトラック「ダー行き」とか言ってたのに、なんとダーより3キロも手前で降ろされた!
みんなでブーブー言ったけど、ドライバーは無視。
仕方なく相乗りしたおじちゃんと一緒にダーまで歩き出す。
しばらく歩いていると、通りかかった車が停まり、声をかけてきた。
最初はわたしと一緒にいたおじちゃんと話してたけど、わたしがダーの宿を探していると知ったら車に乗れと言われた。
グルではないっぽいし、ダーにある宿の数なんて知れてるから、一刻も早く宿をゲットしたいってことで乗車。
*
でもGPSを見ていると、ダーの村を過ぎ、どんどん奥の方へ進んでいく…
宿のおっちゃんに聞くと、ダーではなくダーの隣町のダルクン(Darkun)という村に宿はあるらしい…
「え?ダーって言ったじゃん!ダルクン?何処そこ?わたしはダーに用事があるんだけど!話が違う!ってか部屋いくらなの?!」
と、焦りながら値段を聞いたら
「じゃあ逆に、いくらがいい?」
と言ってきた。
値段を聞いて見たら、なんと3食付きで一泊Rs.1,500 (¥2,700) というではないか。
いやいやいや…
いくら3食付きって言っても、普段Rs.300しか払ってないビンボー旅人が、5倍の値段叩けるかーい!
「Rs.1,500?!嘘でしょ?!そんなん払えない!!!」
と言ったら
「じゃあ値段決めていいよ。君が払いたいだけ払って。」
と言われた。
うーん。
いくら自分で決めていいと言われても、元値がRs.1500となると、簡単にRs.500!とか言いにくい。
こんな物資も少なそうなド田舎だし、それで3食も付くとなると、べつにボッてるわけではないんだろうな。
でも今更ダーに戻って宿を探すわけにはいかないから、とりあえず値段はあとで交渉することにして付いていくことにした。
*
*
ダルクンの村に着くと、息子さんらしき男の人がいて、彼に付いていくように言われる。
どんどん民家のある細道を進んでいく男性。
でも、辺りは真っ暗で、何も見えない。
周り、誰もいない。
わたしは全財産を持った「金持ち外国人」だし、相手は男だし、真っ暗で誰もいないから、下手したら本当に騙されてて身ぐるみ剥がされて強盗なんてこともありえるな…
と、奥に進めば進むほど不安になってくる。
しつこいくらいに、「ねぇ、宿どこにあるの?あとどのくらい?」と聞きまくる。
「あと5分」「あとちょっと」が永遠に感じるようになり、泣きたくなってきた。
万が一の時はどうするか、ということを頭の中でぐるぐる考えていると、無事宿に到着した。
よかった〜( ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )
*
*
到着すると、ドライバー(オーナー)の奥さんと、2歳くらいの娘さんがいて出迎えてくれた。
勝手にあのオーナーを、宿に宿泊客を斡旋するボスだと思ってたけど、後からオーナーも駆けつけ、やっと普通の家族経営の宿ということを知った。
疑ってごめんねー( ;∀;)
お母さんも本当にいい人っぽいし、疑いが晴れたから安心したけど、部屋に案内されたら急に孤独を感じて、ホームシックになった。
全く知らない村で、自分が地図上の何処にいるのかもわからないし、真っ暗で何も見えないし、もちろんネットないから何の情報もないし、誰も知り合いがいないし。
不安と孤独感でソワソワしながら部屋でじっとしていると、宿のお母さんが。
「お腹減ってるでしょ?」と、優しく夕ご飯を用意してくれた。
採れたての山ブドウも、たんとご馳走してくれた。
ブドウと言えば、海外ではお腹壊す確率が高いフルーツ。
房と果実の隙間に、虫や虫の卵が着きやすいので、よく洗わないと危険なのです。
前回インド来た時も、青空市で試食で貰ったぶどうをたった一粒だけなのに、食べた瞬間お腹ちょっとギュルっていったり。
*
でも果物自体久しぶりだし、カレーや揚げ物以外のものを口にしたくて仕様がなかった。
インドでは基本的に薄汚れたローカル食堂で食べて、食堂の水とかも飲むけど、今まで一回もお腹壊さなかったから大丈夫かな…。
万が一お腹壊しても、そのうち帰国するし…
きっとなんとかなるよね…
と、出してもらったぶどうを全部食べてしまったわたし。
後から激しく後悔することになる。
*
深夜、ハッと目が覚めると、急に気持ち悪くなり出し、急いでトイレへ。
もう、あまり言いたくないけど、下から出るものが全部液体。
何度トイレに行っても止まらない。
下からだけでなく、上からも。
激しい吐き気が続く。
吐けたらすぐ楽になるんだけど、もともと吐くのが苦手なわたしは、やっと吐けたとしてもほんの少し。
永遠に吐き気&腐った胃液っぽい感じがつづく。。。
下痢も止まらない。
深夜中ずっとトイレに行き続け、いつでも吐けるようにベッドの横にビニール袋を常備。
目が冷めては吐いて、それでも全然吐けなくて涙目。
しんどい…
絶対あのブドウだ…
体調が治るまで延泊してもよかったけど、ラダック地区滞在パーミットの期限は明日まで。
どうしよう…
*
*
そして翌朝。
正露丸あれだけ飲んだのに、まだまだ下痢は止まらない。
ちなみにバックパッカーの間では有名な話だけど、インドで患った病気には、日本のお薬は一切効きません。笑
現地の薬しか効かない。正露丸なんて、気休め程度。
*
それでも吐き気はちょっと治ったし、当初の目的地、ダーまで歩いて行ってみるか…
と、外出を試みた。
外に出ると、昨晩は見えなかった美しい村の風景が広がっていた。
ヌブラ峡谷のトゥルトゥクの村のように、石造りの小さな家と、民家の間を縫うように走る水路。
所々に、蕎麦や麦の畑があり、アプリコットやナッツが干されていた。
トゥルトゥクよりもさらに小さく、THE・ド田舎に来てしまったという感じ。
ああ、きれい。
なんて素敵な村に住んでるんだろう。
トゥルトゥクもそうだけど、本当に田舎って豊かだなって思う。
水路が静かに流れる音しか聞こえない。
誰もいないなぁ〜と思って歩いていると、なんと目の前には”主”という言葉がふさわしい、伝統衣装に身をまとったご年配の女性が。
おそらくずっと切っていない、とても長い白髪の三つ編みを何本も垂らし、頭にはたくさんの生花が。
花の民だ。
そして、もちろん魔女のような大きな鼻とぎょろっとした大きな目。
そう、もはやお祭りでない限り、生花をつけるのはほぼ年配の女性のみになってしまったと聞いていた。
彼女もわたしがいることに気づき、この外国人に写真を撮られないか、やや不安げにこちらをチラっと見ていた。
途中で彼女は家の方に曲がったのだけれど、すれ違い際に目があったので、ニコッと笑って挨拶すると、向こうも笑顔で挨拶してくれた。
ああ、嬉しい。
写真を撮れなかったのが本当に残念ってくらい、地球上どこを探してもなかなか出会えないであろう容姿をしていた彼女。
本の中の世界でしか会えないような、幻想的な容姿。
*
今まで長い間旅をしてきて「写真撮影を我慢した場面」は幾度となくあったけど、その中でも一番「写真を撮らなくて良かった」と思った瞬間だった。
ただでさえお邪魔している身なのに、彼らに嫌な思いをさせるだけさせて帰るなんて最低だもん。
最近はハヌーでもダーでも、写真にお金をチャージする人たちも増え始めたらしいし。
そりゃあ、いきなりエイリアンがやってきて、無断で人の写真勝手に撮って、黙って帰っていくんだもん。
民族とか宗教とか関係なく、そんなの誰だって嫌だよね。
なので、この日記を読んでからダルクンへ行こうと考えている方がいれば、もちろん写真は許可を得て撮っていただきたいのです。
もし、無責任でエゴイストな観光客にならず、彼らに共感できるのであれば。
宿を出て20分ほどで、昨日車を降りた車道へと出た。
でもこの時すでに、昨晩のような便意と激しい吐き気が戻ってきた。。。
それでもとりあえず、橋の方へと歩き出す…
うー…
やっぱり体調はまだまだ回復しなさそう。。。
悔しいけど、さすがにこんなんじゃダーまでは歩けないかも…
往復10kmだし…
でも川の向こう側の村くらいならすぐそこだしいけるかな…
と、橋までたどり着く直前に激しい吐き気が。
オエエエエ…(←吐きたいけど吐けてない)
橋までなんとかたどり着いたものの、吐き気が凄すぎて橋を渡るどころか立つのもしんどい…
宿からまだ1kmも歩いてないのに…
村はすぐそこのはずなんだけどなあ〜…
とりあえず、橋の前にうずくまること30分。
ようやく歩けそうになったので、おとなしく宿への帰路へとつくことに。
短かった…
でもすれ違った村の人たちみんな、笑顔で挨拶してくれて嬉しかった。
考えてみれば彼らの言語はラダック語じゃないはずなんだけど、ラダック語で返事してくれた。
やっとの事で宿まで来たら、このままだとダルクンの村も全く見れずに終わるな…と思って、ちょっとだけ奥の方に進んでみた。
そうしたら、頭に花をつけたジェントルマンなおじいちゃんが座っていて、ちょっとだけお話した。
彼もまた、写真に収められないのが残念なほどの美しい容姿をしていた。
さらに奥を覗くと、水路の向こうで子供達が遊んでいた。
子供達の方に寄って行くと、左手の方から声をかけられたので、下方を覗いてみると、女性のグループが何やら農作物を使って作業していた。
話を聞くと、この地方で取れる換金作物のナッツの殻を、石で砕いているらしい。
右手前の2人が少し英語を話せたので、いろいろ話す事ができた。
一袋(500gくらい?)Rs.500で売れるらしい。
思ったより悪く無い。
毎日9時くらいから日の入りまで働いてるんだって。
これだけの作業を何時間もやれるのって凄いなあ。
こちらにも、たくさんのアプリコット。
ラダックの人、たまにアプリコットくれます。
おやつにアプリコットとか最高。
しばらくお喋りして仲良くなったので、みんな快く写真撮らせてくれました。
そこで遊んでいた子供達もやってきて、ポーズ撮ってくれたり。
パキスタン国境付近の村人は、混血なのもあって本当に美しい顔をしている。
子供達も本当に愛くるしい。
独身の女子が家族も連れずに旅行するなんてこっちの文化じゃ考えられないから、家族のこととか、恋人の事とか、日本の結婚制度についての質問攻め。
そりゃあ外国人なんてまず来ないしね。
何でも興味深々だろうな。
途中休憩中に、「甘く無いミルクティー飲む?」って言われて、ボットから出てきたのがこれ。
そう、ヤギバター茶。
チベット圏は初めてじゃないのに、意外と初めて。
飲める機会はあったんだけどね。
とりあえずどんな味かわからなかったから、ズズッとほんの少しだけ口に含んでみると…
なんじゃこりゃ!!!!
まっず!!!!!
飲み込んだ瞬間、口から鼻からヤギの獣臭さ!!!
くさいくさいくさい!
オエエエエ!
という顔をすると、みんなに爆笑された。笑
よくこんなの飲めるな…
まぁ日本食も大概の臭さだけど。
*
スーファミの神ゲー「マザー2」で、回復アイテムにヤギバター茶があるんだけど、他キャラクターは全然回復出来ないのに、チベット出身のプーというキャラクターだけめっちゃHP上がる理由がわかりました。
マイナーすぎてごめんw誰かわかりませんか😂
こりゃあ我々は回復出来ません。
ゲーム作った糸井重里さん、よく考えたなー。
↑中でも一番可愛かった女の子💖
モデルポーズしてくれる、茶目っ気たっぷりな3才です💖
ちなみに、言い値で一泊Rs.1,500だった宿は、最終的に一泊Rs.600でOKしてもらいました。
ラダック地方の物価と、朝・昼ご飯は抜きにした事をいろいろ考えて。
貴重な収入源なのに、なんだか申し訳ないな。でも本当に助かった。
*
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帰ってから宿のお母さんに、昨晩のご飯でお腹壊したかもしれないことを言うと
「あ〜ぶどうだね!」
とあっさり言われた。
わかってたんか〜い!
言ってよ〜〜〜!!!😂
別の宿泊客の僧侶にも「お腹壊して大変だった〜」って言っただけで「ぶどう?」って言われたしw
現地民でもやられるレベルなら、配慮してほしかったな〜😂
ワタシ日本人ダヨ。
まぁ自業自得なんだけどね。
半分わかってて食べたし。笑
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ちなみに今回壊したお腹、2ヶ月後のキューバ旅行中にやっと完治ました(最初数週間はずっとトイレが地獄)。
旅人がインドで壊したお腹が、2〜3ヶ月余裕で治らない事はお決まりって事と、正露丸全く効かないって事を身を以て学んだ。
世界一周バックパッカーが、インドで患ったお腹を数ヶ月後ヨーロッパに行ってもまだ治ってないって人にも会ったし。
もはや洗礼。
旅行中は過信して無茶しがちですね。以後気をつけます!
皆さんも海外のフルーツにはお気をつけください。
特にブドウ。
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